電動歯ブラシのトリセツ

● 電動歯ブラシちゃんと使えてる?

テクノロジー好きの方が多い日本IBMの社員の方々にも、電動歯ブラシを使っている方が大勢います。

日本IBM健康保険組合は、毎年希望者を対象に歯科予防プログラムを行っていて、2016年間での参加者数はのべ2万4000人超なのですが、プログラムの実施会場では、

「 電動歯ブラシを使用しているのに、その方が思ったほどお口がキレイになっていない 」

ケースがよく見られるそうです。

磨けていない方にアリガチな傾向は主に4つ!

 

➀.電動歯ブラシはブラシヘッドが高速で動いているのに、歯みがき本体を手みがき用のブラシのように動かしている。

②.軽い力であてればキレイになるはずなのに、ブラシヘッドをグイグイ押し付けている。

③.ブラシヘッドの交換を忘れていて、購入時のものをそのまま使い続けている。

④.形状やサイズ、ブラシの毛の質などがその方に合っていないと思われるものを使い続けている。

 

なかには、間違った使い方を日常的にしているせいで歯ぐきが傷ついていたり、歯ぐきが下がってしまっている方もいれば、粗めの研磨剤が入った歯みがき粉を使って、歯にダメージを与えてしまっている方も見受けられます。



● 基本は「 あてるだけ、そえるだけ 」

フィリップス ソニッケアーやブラウン オーラルBなど、高性能の電動歯ブラシ(音波電動歯ブラシ)を使うてで大切なのは、

     「 みがきたい部分にしっかりあてること 」

電動歯ブラシはプラークを落とす力が強いものの、みがきたい部分にブラシをあてるのは、使う側がしなくてはなりません!

ですから、手みがき用の歯ブラシのように手を動かしてみがいてはいけません。みがきたい部分に「 あてるだけ、そえるだけ 」が基本です。

また高性能の製品には、ブラシの押しつけ過ぎを知らせたり、防止する機能も搭載されています。逆にいえば、ブラシを押し付けてしまう癖のある人ほど、そうした機能のある製品が向いているともいえます。

使って楽しく、効率的なプラーク除去が期待できる電動歯ブラシ、せっかく使うのなら、適切に使用して十分に性能を引き出せるようにしたいものですね・・・^^

歯みがき粉の予防力アップ!^^

フッ素がむし歯予防に効果があるって聞いたことありますよね?

実はこのフッ素、日本の歯みがき粉ではこれまで1,000ppmF以下の濃度で配合するように決められていたのですが、今年3月に国際基準(ISO)と同様の1,500ppmFを上限とする歯みがき粉の発売がついに認可され、販売が始まっているのです。

● あらためておさらい!フッ素の効果!

➀.歯質強化

フッ素といっしょに修復された歯の決結晶は、元の歯より強い結晶になるため、むし歯になりにくい丈夫な歯になる。

②.再石灰化の促進

唾液の中に溶けだしたカルシウムなどが歯に取り込まれやすくなり歯  が修復されるスピードと量が多くなる。

③.抗菌作用

むし歯菌の酸を産生する活動をおさえる。

 

 

適切な濃度が口の中に長く保たれるほど効果が発揮されるので、フッ素配合歯みがき粉には、こうした効果が発揮されやすい濃度が配合されています。

実際、国内のフッ素配合歯みがき粉の市場シェアが増加するに伴い、1人あたりのむし歯本数(12歳児)は急激に減少しています。

今後、高濃度フッ素を配合した歯みがき粉が普及していけば、むし歯の本数はさらに減少することが予測されます。

 

● 高濃度フッ素配合品、子どもも使える?

1,500ppmFの配合が認められるにあたって、歯みがき粉メーカー団体(日本歯磨工業会)が相談して、

      「 6歳未満の使用はお控えいただく 」

という自主規制を設けました。

歯の形成期である6歳未満は、過剰のフッ素を積極的に飲みこむと、歯に白斑(斑状歯)が現れることがありますが、エナメル質が完成する6歳以降では、まず心配ないため、このような基準となっています。

 

● 予防だけじゃなく治療にも有効です!

歯は食事のたびに溶けているってご存知ですか?

これでは歯がどんどん減ってしまいそうですが、そうならないのは、溶けだしたカルシウムなどが唾液の力によって歯に戻り、補修されているからです。

つまり、歯の溶解に補修のスピードが追いつけば、むし歯はできません。

しかし、補修が追いつかない状態が続くと、溶解が進み、むし歯ができてしまいます。この初期段階が「 初期むし歯 」です。

そこで重要になるのが補修のスピードアップ。

カギを握るのは歯の補修スピードアップを早めるフッ素です。

高濃度フッ素配合歯みがき粉は補修のスピードをさらに高めるので、予防はもちろん初期むし歯の治療にも大変有効なアイテムなのです^^

(* 2017年 nico  11月号 を参考にしてまとめています^^)

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歯科治療がお役に立ちます。気になる口臭とめましょう!

「生理的口臭」と「病的口臭」

 口臭はいくつかの種類に分類でき、それぞれ原因が異なります。だれにでもある、軽い臭いの「生理的な口臭」や、ニンニクやお酒など食べ物による一時的な口臭があるほか、臭いが強くて悩みの種になりやすいのが「病的な口臭」です。

 病的な口臭は、どこからくるのでしょう?「胃腸が悪いと口臭が強くなる」と言いますが、これは、臭いが胃から口に上がってくると思われているからかもしれません。実際は、胃の入り口はつよい筋肉でギュッと閉まっているので、(ゲップは別として)臭いが上がってくることはまずありません。

 からだの病気で口臭がするなら、それは臭いの物質が体内を巡り肺から呼気として臭っているわけで、ふつうに考えて、これはよほど重篤な状態です。からだの治療が優先で、口臭どころではないでしょう。

 

クサい臭いは歯周病が原因

 病的な口臭で多いのは、じつは歯周病が原因の口臭です。臭い物質といってもさまざまありますが、口臭に特徴的にあらわれる臭い物質は、「硫黄化合物」と呼ばれる種類の揮発性ガスです。なかでも代表格は、硫化水素、メチルメルカプタン、そしてジメチルサルファイドで、それぞれに特徴的で強烈な悪臭があります。

 たとえるなら、硫化水素は卵が腐ったような臭い、メチルメルカプタンは魚や玉ねぎが腐ったような臭い、ジメチルサルファイドは生ごみのような臭いです。病的な口臭はこれらが混合したものなので、周囲のかたが不快に思うのも無理はないのです。

臭いの正体は細菌の出すガス!

 これらのガスをつくるのはお口の細菌で、なかでも歯周病菌は、タンパク質を分解する酵素を持っており、その酵素でさかんにタンパク質を分解して、揮発性ガスを発生させます。歯周病が進むと、粘膜や老廃物が大好きな歯周病菌は、歯と歯ぐきのあいだの溝だけでなく、老廃物が積もる舌にも住みつき、舌苔から強い臭いを発するようになります。

 舌の表面はデコボコしていて汚れがくっつきやすく、細菌にとっては居心地のいい場所です。しかし、舌苔が口臭の原因だからといくら舌を掃除して努力しても、おおもとの歯周病を治さないままでは、細菌が次々供給されるので、揮発性ガスはいつまでたっても止まりません。

 クサい臭いを元から断つには、歯周病の治療を受け、その後も定期的に歯のクリーニングをしてもらって、お口の清潔を保つことが必要です。プロのケアとセルフケアで、爽やかなお口を過ごしましょう!

引用参考文献:nico 2017年9月号

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子どもの過剰歯・欠如歯 etc. をチェック!パノラマレントゲン 一度撮りましょう

 

 お子さんの永久歯の生え代わりは、うまくいくのが当たり前だと思いがちですが、じつは、外から見ているだけではわからない問題が起きてくることがあるんです。

 なかでも特に多いのが「過剰歯」と「先天性欠如歯」。ですが、これらは早期発見で歯並びや噛み合わせを守ることのできる場合も多々あります。お子さんが7歳くらいになったら、一度歯科医院でパノラマレントゲン(お口の中全体のレントゲン写真)を撮ってみませんか?

 

30人に1人!の「過剰歯」

 「過剰歯」とは「余分な歯」のこと。親知らずを除いて本来必要な28本の永久歯のほかに、余分な歯の芽ができ、育ってしまったものをいいます。

 過剰歯の問題点は、その余分な歯が、スクスクと生えてきてほしい永久歯の道筋をさえぎったり、それだけでなく、押して傷めてしまうことです。過剰歯が見つかる場所はたいていが上あごの前歯の周りで、「前歯がなかなか生えない」「前歯の生え方が変だ」と相談に来院した際、レントゲンで発見されることが多いです。

 周りの歯の被害を防ぐには、早期発見が肝心。7歳を過ぎたら一度パノラマレントゲンを撮って、診てもらっておくと安心です。

 

10人に1人!?の「先天性欠如歯」

 必要な本数があごの中で育たず、歯が足りない「先天性欠如歯」は10人に1人程度に見られ、けっして特殊ではありません。あわてずに、まずは治療が必要か、経過観察でよいかを、お子さんの治療に慣れた歯科医師に診てもらいましょう。

 矯正治療で対応できたり、乳歯がよい状態で残っているのなら、むし歯を予防して乳歯を大事にもたせ、経過観察をして、大人になって乳歯がダメになってからブリッジやインプラントを入れるという方法をとります。成人になっても乳歯を続けて使えるケースもめずらしくありません。

 欠如歯の治療は、将来を見越しながら進めていくことが大事。ぜひ気長にお付き合いください。

 

 「お子さんにレントゲンを」というと、放射線量が気になるかと思いますが、歯科では患者さんが最小の被ばく量で最大の利益を得られるよう適切に撮影しています。

 過剰歯や先天性欠如歯をはじめ、お子さんのお口の中は、レントゲンで診ないとわからないことがたくさんあります。お子さんのお口の健康を守るために、パノラマレントゲンをお役立てください。

引用参考文献:nico 2017年8月号

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歯を失いはじめたかたにアドバイス。治療の選択肢 どんなのがある?

 いざ歯を失って治療が必要になったときどんな治療を選ぶべきかは、患者さんのお口の状態はもちろん、どの歯を失ったのかや、患者さんのご希望によって大きく異なります。それだけに、選択に迷うかたも多いと思います。そこで、主な治療法について基本的な特徴を整理してみました。

 

ブリッジ

 「ブリッジ」は、失った歯の両脇の歯を支えにして、歯のない部分に連結型のダミーの歯を入れる治療です。

 3連結のブリッジなら、3本分の仕事を両脇の2本の歯にさせることになります。つまり支えの歯には、本来の1.5倍の仕事がふりかかるわけです。ですから、失った歯の代わりに噛む力を肩代わりできる支えの歯があるかどうか。これが良いブリッジをつくるための最大のハードルです。

 片側の支えだけでもつくれないわけではないのですが、支える歯の負担が増えるので耐久性が低くなってしまいます。

 

部分入れ歯

 「部分入れ歯」は、クラスプを歯に引っかけて固定するタイプから、マグネットやホック、インプラントなどの維持装置を設置して、より動きにくくした自費治療のもの、ソフトタイプで目立たないもの(やはり自費治療)まで、その種類はさまざまです。

 基本的にはほとんど歯を削らずにすみ、外科手術ももちろん必要ないため、ブリッジやインプラントと比べれば、もっとも選択しやすい治療でしょう。

 場合によっては試したあと、ほかの選択肢に変えることもできるので、迷うなら「ひとまず部分入れ歯で」という判断はありうると思います。

 

インプラント 

 「インプラント」の最大の特徴は、人口歯でありながら、天然歯のように「自立する」ということ。ブリッジや部分入れ歯は残った歯に支えられないと機能しませんが、インプラントの場合は、インプラント体を埋めて半年ほどそっとしておくと、あごの骨とガッチリ結合するのです。そのため周囲の歯に負担をかけずに使えます。

 ただし弱点もあります。人口歯なのでむし歯にはなりませんが、炎症に弱いのです。インプラントの周りにプラーク(細菌のかたまり)がたまると、歯周病そっくりの炎症が起きます。天然歯よりも進行が速いので、油断するとあごの骨との結合が壊れて噛めなくなってしまいます。

 特に、歯を失った原因が歯周病だというかたはもともと歯周病のリスクが高いので、ていねいなお手入れが必須です。

引用参考文献:nico 2017年7月号

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究極の細密テク。根っこの治療を知りたい!

「根っこの治療」って何ですか?

 歯の根っこの治療とは、炎症を起こしている細菌を歯の中から徹底的に追い出し減らすことにより炎症を止め、治癒に導く治療です。針のような細い器具を用いて、歯の中にある極細の神経を取り除き、神経の通っていた細い管を掃除します。

 

ミクロの敵(細菌)との勝負です!

 しかしじつはこの治療、歯科医師にとってもとても難しい治療です。というのも、闘いの相手が細菌なので、退治できたかを目で見て確認することができないのです。

 しかも、患者さんによっては歯の中で神経が迷路のように枝わかれしていたり、ねじれていたり、大きくわん曲していたりしていて、一筋縄ではいかないケースもめずらしくありません。

 こんな不利な条件下で、私たち歯科医師にできることといえば、歯の中を徹底的に掃除し、消毒して細菌を減らすことに尽きます。細菌を減らし、残った細菌が身動きできないようピタリと歯にフタをして活動を封じ込めることに成功すると、患者さんの自然治癒によって治っていくというわけです。

 このように、根っこの治癒にはさまざまな困難がありますが、治療が成功したときのメリットはたいへん大きいです。なにしろ、抜くしかなかったはずの歯を、被せ物を被せて使い続けられるのですから。

 

治療の前に知っておいてほしいこと

 根っこの治療には、痛みや違和感はつきもの。強い痛みから違和感程度のものまで含めると、6〜7割の患者さんになんらかの症状が出ることがわかっています。痛みのピークは48時間〜72時間で、2〜3日過ぎるとだいぶ楽になり、1週間もすれば患者さんの95%は痛みが治まっていきます。 

 歯科で処方された痛み止めの薬は、「痛くなってきたな」と思ったら、我慢せずに早めに飲みましょう。強い痛みを我慢すると、痛みに対する感覚が敏感になって、薬が効きにくくなってしまいます。

 また、根っこの治療の間隔は、長く空いたとしても4週間以内にしましょう。根っこの治療では、掃除をした歯の管に細菌が入らないようにシャットアウトする封の役割が非常に重要ですが、治療途中の封は外して掃除することができる仮の封なのです。

 仮の封の耐久期間は4週間程度といわれており、治療の間隔が1か月以上も空くと、封の隙間から細菌が入り、それまでの治療が無駄になってしまうことがあります。ですから、治療は間隔を空けずに終わらせましょう。

引用参考文献:nico 2017年6月

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年齢別ブラッシングのコツ

いよいよ今日からは、 『 歯と口の健康週間 』!

歯と口の健康に関する正しい知識と習慣を身につけ、歯科医院などで行う 「 プロケア 」 と 自宅でできる 「 セルフケア 」を実践しましょう!

ここでは、毎日の 「 セルフケア 」 で大切な、歯みがき&仕上げみがきのポイントをご紹介いたします^^

※ 日本歯科医師会雑誌 「 歯の学校 64号 」 参照

歯の詰め物イマドキいろいろ図鑑

 国内で使われている代表的な詰め物の材料には現在、いくつかの種類があり、患者さんのご希望や歯の状態に合ったものが選択されています。軟らかめのもの、硬く丈夫なものなど、それぞれ長所と短所があるので、見た目だけでなく、むし歯の大きさ、前歯か奥歯か、噛む力の強さなども考慮して、選択されています。

 

即日治療終了。コンポジットレジン

 「コンポジットレジン」のいちばんの強みは、詰めるために歯を削る量が少なくて済むこと。詰め物が取れにくいように、余分に削ってはめ込む必要がありません。

 ただし、着色しやすいこと、大きな治療や、強い力がかかる歯の治療が苦手という弱点も。軟らかいので、使っているうちに削れたり崩れたりすることもあります。とはいえ、軟らかいぶん周りの歯にも優しく、安心しておすすめできる材料です。

 

おなじみの金属。耐久性は太鼓判!

 「金銀パラジウム合金(金バラ)」は耐久性に定評あり。ただ、歯より格段に硬いので、この硬さが歯の負担となることも。歯が自然と咬耗していくのに対して、この金属は変わらないので、歯と詰め物のあいだに段差ができ、そこに汚れがたまると、新たなむし歯の火種となってしまいます。

 「金合金(ゴールド)」は、いわゆる「金歯」のこと。今でもなくてはならない貴重な歯科材料です。というのもゴールドは、金箔をつくれるほど粘りがありしなやかなので、ピタリと歯になじみ、歯といっしょに咬耗し、しなってくれます。そのため歯と段差ができにくく、周囲の歯質も傷みにくので、保険の金バラとくらべると、長期的にみて格段に歯によいのです。デメリットは、目立つことと高価なことですね。

 

人気のセラミック。さらに割れにくく!

 「セラミック」とはそもそも「陶材」のこと。透明感がありきれいで、プラークもつきにくく変色しないかわりに、お茶碗のように欠けやすいのが難点でした。しかし、最近は歯と同程度の曲げ強度のある新材料「e.max(イーマックス)」が登場し、この弱点は改善傾向にあります。

 以前は耐久性の点から、強い力がかかる奥歯にはおすすめできませんでしたが、この新素材が登場してからは、だいぶ適用範囲が広がりました。

 

 「nico」2017年5月号では、上記以外にもさまざまな詰め物を写真つきで解説しています。詰め物について疑問に思ったら、ぜひ手に取ってみてください。

引用参考文献:nico 2017年5月号

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「きれいになる」だけじゃない!矯正治療でウェルエイジング

「歯並びをきれいにするもの」というイメージのある矯正治療。ですが、矯正治療のメリットは、審美的なものだけではありません。歯がきれいに並び、噛み合わせがよくなることは、若々しく健やかに年を重ねるためにも重要なんです。

矯正治療で「お口の機能」を改善!

 矯正治療の「きれいになる」以外のメリット。それはずばり「お口の機能の改善」です。お口には、モノを噛む(咀嚼)、モノを飲み込む(嚥下)、発音する、表情をつくる、唾液を分泌するといったさまざまな機能があります。どれも生きていくうえで大切な機能ですが、なかでも重要なのは、「よく噛めるようになる」ということ。

 食べ物を咀嚼し、栄養を摂取するためには、よい歯並びと噛み合わせが大切です。それは、ご高齢になるほどいっそう重要になっていきます。

 また、噛み合わせがよくなると、よく咀嚼できるようになるので、唾液が出やすくなります。この「唾液が出やすくなる」というのも、若さを保つ秘けつの1つ。

唾液にはからだに有益な酵素やホルモンがたくさん含まれています。消化を助けるアミラーゼ、リパーゼなどの酵素をはじめ、咀嚼物に粘りを与え嚥下を助けるムチン、それに骨・筋肉を強くするパロチン(若返りホルモンといわれます)などなど。唾液がたくさん分泌されるということは、からだの中から若返るということなのです。

 くわえて、千葉市や文京区による「8020」達成者を対象とした噛み合わせの調査では、反対咬合(受け口)や開咬の人がほとんどいなかったことがわかっています。歯の一部分に負担がかかる、よくない噛み合わせのままでは、より多く歯を残すのは難しいことがわかります。

 このように、正しい歯並びは「美と健康のファンダメンタル(基礎)」。矯正治療によるお口の機能の改善は、ウェルエイジングのカギとなります。

 噛み合わせの改善は、入れ歯やインプラントでも可能ですが、「できるだけ自分の歯で」というのは、皆さん共通のお気持ちではないでしょうか。

 お子さんや若い人がされている印象が強い矯正治療。けれども、最近は歯の大切さが浸透してきたせいか、40代や50代から治療を始める人も増えています。

 歯並びが気になっているけれど、「今さら矯正なんて……」と尻込みしているあなた。けっして遅くはありません。いつまでもおいしく食べ、楽しく笑い、健やかに過ごすために、矯正治療がきっとお役に立てると思います。

引用参考文献: nico 2017年4月号

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糖尿病、高血圧 etc.持病のある方 歯科受診にもお薬手帳を忘れずに!

「お薬手帳」は歯科でも役に立ちます。

 「歯科の受診時に『お薬手帳』を」なんて聞くと不思議に思う方もおられるかもしれませんね。からだとお口の中のことは、ともすると別物と思われがちです。しかし実際には、持病やその治療薬や歯科治療に与える影響はたいへん大きいのです。

 たとえば、血液サラサラの薬を飲んでいる患者さんが、それを歯科に知らせず抜歯を受けたら血が止まらずたいへんなことに。歯科医師が適切な配慮をし安全な治療をするには、正確な情報が必須なのです。

 ただそうは言っても、正確に伝えることは容易ではありません。病院をかけもちし、いろいろな薬を飲んでいる方も珍しくないですし、受けている治療をご自分ですべて把握しておられるとも限りません。

 そういうときに頼りになるのが「お薬手帳」。少なくとも医科で治療中の方に関しては、受けている治療、飲んでいる薬が歯科医師に正確に伝わります。

 

歯科治療に影響する持病と薬って?

 とくに「糖尿病」と「高血圧」は歯科医療への影響大。このふたつの病気はかかっている人が多いだけでなく、血栓症、動脈硬化、腎不全などの合併症が起きるきっかけとなります。

 糖尿病の方は、歯周病の炎症が起きやすく、治りにくい傾向があります。また、手術後や抜歯後の傷が治りにくく感染しやすいです。

 糖尿病の合併症である心血管病の治療のために血液サラサラの薬(抗凝固薬、抗血小板薬)を飲んでいると、外科処置後になかなか血が止まりませんので、止血処置を念入りに行う必要があります。

 高血圧の方は、血圧のコントロールがされていないと、歯周ポケットの深いところをスケーリングしたり、歯ぐきの切開や抜歯などの外科処置をしたときに出血しやすい傾向があります。

 高血圧の合併症である心血管病の治療のために血液サラサラの薬を飲んでいると、外科処置後になかなか血が止まりません。また、血圧がコントロールできていないと、治療中に血圧が急上昇してめまいやふらつきが起きて危険なことも。

 ほかにも、骨粗しょう症の治療薬(BP剤)、リウマチやアレルギーの症状を抑えるステロイドなども治療に影響します。

 

 いまどんな持病の治療を受け、どんなお薬を飲んでいるのか、正確かつ簡単に伝えられる「お薬手帳」。皆さんの口やからだを守るために欠かせないものですので、ぜひ歯科受診の際にもお持ちください。

引用参考文献:nico 2017年3月号

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