歯科のエックス線

                      最近何かと話題の放射線ですが、レントゲン博士によって、物質を透過する「 エックス線 」が発見されてから120年近く経過し、以来医学はエックス線の発見によって多大な進歩をとげてきました。

エックス線発見直後から撮影が始まり、数ヵ月後にはもう医学的な応用がこころみられていたそうなので、物質を透過するなぞの放射線が、いかに当時の医学に求められ希望をもたらしていたのか、その切実さが伝わってきます。

また、歯科の分野でも発見から数年で実用化され、目で見るだけでは分からない病巣の検査・診断や治療計画の立案、治療後の経過観察に、と歯科のあらゆる場面で用いられています。

歯科の病気は患者さまから症状をお聞きし、お口の中を診るだけで発見できると思われがちですが、実は問診と視診だけで病状の全体像を発見できるケースはほんの一握りだけです。

痛みや症状があまりないまま歯ぐきのおくで進行する歯周病だけではなく、むし歯ですら必ずしも痛みがでるとは限らず、そのために発見が遅れ、歯を失わざるをえない場合もあります。

なので、むしろ見えないところまでしっかりと診ることが歯科治療ではたいへん重要になります。

実際、エックス線写真を撮影しないと分からないことも多く、正確な診断を下し最小限の侵襲で治療するにはエックス線検査は重要な検査方法になっています。

ただし、問題として残されるのが放射線の与える人体への影響です。

一般的に歯科のエックス線撮影は部位がせまく限られるだけに放射線は少なく健康への問題はないとされています。

しかし、浴びる放射線量が少ないほうが好ましいのは確かなので、いくら歯科治療に重要な検査だからといって、目をつぶってはいけない大切な問題で、歯科医師の責任も重大です。

当医院では通常の放射線量の10分の1のデジタルレントゲンでの撮影をしています。

また、妊婦さんだけではなく、すべての患者さま(小さいお子さんの撮影でレントゲン室に入室される保護者の方へも)へ防護服の着用をしての撮影を徹底しています。

もし不明な点などあれば、お問い合わせメールでもいいのでご相談下さい。

 ※(今回は nico 8月号 を参考に記載しています)

「そこが知りたい!フッ素の力」

フッ化物、使っていますか?

 「フッ化物がむし歯予防に効く」と、皆さん聞いたことありますか?

日本では1948年にフッ化物入りの歯みがき剤がはじめて製品化され、現在では販売されている歯みがき剤の89%にフッ素が配合されています。

皆さんがいま使っている歯みがき剤にも、フッ化物が入っているのではないでしょうか。

 日本ではそのほかにも、フッ化ジェル、スプレーなど、毎日の歯みがきの際に歯に直接塗る方法や、フッ化物溶液でぶくぶくするフッ化物洗口(学校や幼稚園・保育園などでおもに実施)、そして歯医者さんで定期的に受けるフッ化物歯面塗布が行われています。

こうした、口のなかにフッ化物を使う方法を「局所応用」といい、日本ではフッ化物を局所応用で用いています。

 海外では、こうした局所応用のほかに、水道水のフッ化物濃度調整や食塩にフッ化物を添加したり、フッ化物タブレットを使うなどの「全身応用」もさかんに行われています。日本では「水道水にフッ化物?」「食塩に?」「飲んでいいの?」と驚かれてしまいますが、じつはフッ素元素はミネラル栄養素。

フッ化物のむし歯予防効果が発見されたきっかけ自体「フッ化物濃度の高い天然水を飲む地域にむし歯が少ない」という調査結果からだったのです。

 

自然から教わったむし歯予防法

 フッ化物のむし歯予防への応用は、1901年、若い歯科医師がアメリカのロッキー山脈の麓にあるコロラドスプリングスの住民に、独特の褐色の歯を見つけて調査をはじめたことにはじまります。

歯が褐色で形成不全であるほかに、住民たちには別段健康上の問題が見受けられず、むしろむし歯がとても少ないというすぐれた特徴がありました。

 

フッ化物利用のはじまり

 これがきっかけになって、アメリカ中の飲み水のフッ化物濃度とむし歯の関係を調べる大規模な調査が行われました。

すると約1ppmのフッ化物が入った水を飲んでいる地域では、うまい具合にむし歯が減って、しかも歯の色にほとんど問題が起きないことがわかったのです。

このフッ化物のすぐれた力を限られた地域の人々だけが享受するのではなく、より多くの人々の歯科保健に役立てようと、1945年には早くもアメリカで初の水道水のフッ化物調整が開始され、全身応用が始まりました。

 本誌では、現在110ヶ国以上で用いられ効果を上げている、フッ化物を使ったむし歯予防についてお話していきます。

引用参考文献:nico 2011年10月号

歯ぎしり

この前の宮崎日日新聞に

  危ない「歯ぎしり」   ~顎関節症や歯周病悪化~

というタイトルが掲載されていました。

睡眠中の「歯ぎしり」や「くいしばり」を総称して「睡眠時ブラキシズム」というのですが、

これが

①.一緒に寝ている人の安眠を妨げるだけではなく 

②.歯の磨耗や破損

③.顎関節の障害        など重大なトラブルを引き起こすというもの

他にも歯がしみたり(知覚過敏)、被せ物や詰め物が外れたり、歯周病が進行しやすかったり、口の周りの筋肉が痛んだり、頭痛・肩こりの原因になったりする場合もあります。

ただ、なぜこのブラキシズムが起きるのかは詳しい原因は分かっておらず、これ自体を止めることはできないが、悪影響を最小限にとどめることはできるということで、早期歯科受診をすすめている記事でした。

治療としてはもっぱら悪影響を与えている要因を可能な限り減らすことが目標となります。

「 重要なのは歯の保護と、歯や顎にかかる力の分布を制御すること 」とのこと。

有効なものとしては患者さまに合わせて製作していくもので、睡眠時のみ装着する「ナイトガード」などの樹脂製のマウスピースがあります。

これは歯の表面を磨耗から守るとともに歯にかかる力を歯列
全体に均等に配分するものになります。

日中の意識がある場合は “ 噛みしめている ”ことを常に意識してご自身でできることとしては

1.唇は上下閉じた状態で上下の歯は合わせない

2.噛み合わせていることに気付いたらすぐに離す

3.唇や頬、顎など口の周りの力を抜く

4.緊張時、集中時には姿勢をよくして肩の力を抜いて深呼吸する

5.ストレスをためない

6.重いものを運んだり、激しい運動をするときには特に注意する

などがあります。



また就寝時に注意することとしては



1.寝るときには極力悩み事や考え事をもっていかない

2.リラックスしたイメージ、楽しい経験などを考えて休む

3.高い枕は噛みしめやすくなるので避ける

4.体の緊張ができるだけ取れる体位で休むことが望ましいが、横向きなど顎に力が入りやすい体位にも注意する

などがあります。

お心当たりがある方はまずは歯科医院で早期相談をしてみては?






    

「いまなら間に合う。ストップ!ザ・歯周病」

歯周病菌の除去がすべての基本

 歯周病が細菌による感染症だということを知っていますか?

歯周病の原因は、歯にベッタリとつくプラーク(細菌のかたまりで歯垢ともいう)。

中に潜む歯周病菌が引き起こす炎症によって歯を支える歯周組織が破壊され、最終的には歯が抜けてしまう怖い病気なんです。

また、いったん破壊されてしまうと、たいへんやっかいです。

 歯周病がふつうの感染症と違うのは、病気の原因菌がふだんから私たちの口の中にいる常在菌だということ。

お母さんの産道を通って生まれてくるときに感染するのではないかといわれていて、私たちと歯周病菌の付き合いは、生まれると同時にはじまっているのかもしれません。

ただし、感染したからといってすぐに歯周病になるわけではなく、常在菌である歯周病菌と人間は、本来、平和に共存しているのです。

 

進行を止めるには?

 しかし、歯みがきをサボったり、みがき方が雑だったりして、プラークが蓄積し成熟するにつれて、歯周病菌は口の中で猛烈に増殖します。

すると、それまで保たれていた共生のバランスが崩れ、炎症が起きます。これが歯周病のはじまりです。

 

 歯周病の進行を止めるには、とにかく歯周病菌を徹底的に追い出すこと。

空気にあたると死んでしまう嫌気性細菌である歯周病菌は、歯周ポケットの奥深くや軽石状の歯石の中が大好き。

温かで空気のない恵まれた環境の中に潜んでいます。

そこで、歯周病菌を減らすには、歯面だけでなく、歯周ポケットの中もスケーリング・ルートプレーニング(SRP)でしっかりと掃除します。

それでも取れなければ、歯ぐきを切り開いてデブライドメント(プラークや歯石、汚染された組織の除去)をします。

 

悪化する前に治療開始を!

 歯面のプラーク除去ももちろん重要で、歯科医院のプロフェッショナル・クリーニングであるPMTC、そして患者さんご自身のていねいな歯みがきで、歯周病菌を徹底的に減らします。

毎日の歯みがきも、歯周病菌を減らすための立派な「治療」なのです。

 本特集では、歯周病から歯を救うにはどんな治療が必要かを、病状の進行度別に順次説明してあります。

歯科の実態調査では、日本の成人の約8割がなんらかの歯周病の症状があることがわかっています。

あなたにとっても他人ごとではないはず。痛くないからと放置せず、病状が悪化する前に歯周病の治療をはじめましょう。

引用参考文献:nico 2011年9月号

何でもインプラント治療が1番???

この前の週末は熊本でのインプラントセミナーを受講しに行っていましたが、これは治療方法の1つとしての知識、技術の習得のためです。

最初にお話ししておくと自分はインプラント治療がどなたにとっても “ 最善の方法 ” という考えではありません。

ある人にとってはベストの方法の場合もありますし、過剰な治療方法の場合もあると思います。

しかし、自分に技術がないからといって患者さまが希望している治療方法ができないというのも???


以前、患者さまから入れ歯の作り替えのご質問で

    『 ここでは入れ歯を作るのはいくらなの? 』

というご質問をお受けしたことがあります。そこで保険内での入れ歯で

    『 3割負担で約〇〇円です(約1~2万円くらい 』

とお答えしたところ

    『 そんなに安いのではたいしたものはできないんでしょう? 』

と言われたことがあります。

それでお話ししてみると、以前お住まいの関東の歯科医院ではまず最初の治療計画では、最初からインプラントありきのお話しで治療費はすべてインプラントにして百万円近くだったそうです。

ただ骨の状態でインプラントは無理とのことで、金属床義歯(粘膜に触れる部分を薄い貴金属で製作する自費の入れ歯)をインプラントよりは安いからという理由で50~60万円で製作したことがあったそうです。

今回の入れ歯の作り替えは、その入れ歯が落ちやすいので。。。とのことでした。

それで保険内の入れ歯だとたいした物ではないんでは?という考えになったということ!

そこで、まず製作してみてダメならば保険外の入れ歯の製作もお考えになってみては?とご提案させていただいて、実際はその入れ歯で大満足ということでした。

皆さんはどうお考えになります?

自分の治療計画立案では、患者さまに提供された治療計画の逆になります。

通常は、詰め物でも被せ物でも入れ歯でもすべて患者さまが最初から問診時などで自費診療のご希望あれば、その情報も一緒に提供させていただき治療計画ではいろいろなパターンをお話します。

その上でじっくりご家族などとも相談していただき治療方法を後日最終決定していきます。

その自費診療のご希望ない場合は、まずは保険内のもので製作してみて、満足されない場合は自費診療もお考えになってみては?というスタイルで提案していきます。

(もちろん保険内の診療でもベストを尽くしますので、それで満足される場合も多いです)

もう1つの例では歯の色が気になりホワイトニングご希望の方でも、着色除去や歯石除去を保険内で行うと歯本来の色になり、そこで満足される方も多いのです。

ところで、最初の例に戻りますと自分の中での治療計画では、まず3方法(保険内での入れ歯、保険外での入れ歯、インプラント)のそれぞれのメリット、デメリットも含めてすべてお話しして迷われている方などには、できるだけ負担の少ない方法から行ってみては?という提案をしていきます。

患者さまと実際お話ししてみると、

①.まず歯科医師とお話しをあまりしたことがない

という方が多いことに驚くのと、
 
②.治療方法の提案が1つでその場で決定して下さいと言われたので、高額だと思いながらもその方法しか知らない

ということでした。

自分は、ここは完全に改善するべきだと考えますし、そこの改善には十分時間をかけて重点を置くべきと考えています。

インプラント治療に限らず、こういうスタイルでの治療計画立案をすべての患者さまに行っていきますので、ご不明な点などは何でもお気軽にご質問下さい^^

念願の。。。

今日は午前の診療後に2年前から宮崎県初での購入を考えていたCAD-CAMの

  『  CEREC  AC  』

という機器の納品でした。

(今では県内でも導入している医院も増えつつあるようですが。。。)

自分は午後2時半~4時過ぎまで衛生士学校での授業(レントゲン写真読影法)(今年8回目の最後の授業)があったので、それまではスタッフへ業者の方から取り扱いの説明などをしていただいていました。。。

これは以前もブログにも記載しましたが、オールセラミック(陶材)のクラウン(かぶせもの)やインレー(型取りするつめもの)などを自分の医院で製作できるものです。

型取りも一般的なピンクなどの印象材(いんしょうざい)というものを練ってから石膏(せっこう)を流し込んで模型をつくるのではないのです。

光学印象(こうがくいんしょう)というスキャンニングでパソコン上に取り込み、そこで設計もしてセラミックの材料のブロックを削りだして製作するというものなのです。

(印象剤、石膏などの産業廃棄物もでないので環境にもやさしいものになります)

これまでのものは、どうしても外注で技工所で製作していただくために技工料もかかり、患者さまの負担も多くなってしまいますが、この自医院で製作できるシステムではその分患者さまへも負担金では少なくできるのです。

前歯などで色を厳密に調和させる必要がある部位では、外注での手作業がメリットが多い場合もあるため、使い分けていく予定です。

しばらく取り扱いなどのトレーニングしてから、患者さまへもできるだけ早く提供できるようにしていくため、もうしばらくお待ちください。^^

「インプラントを可能にする 骨造成術を知りたい!」

歯槽骨が足りない?!

 インプラント治療を希望なさっているのに、「歯槽骨の骨量が足りない」という患者さんはじつにめずらしくありません。

というのも、歯を失うに至る過程で、歯槽骨にすでになんらかのダメージを受けているかたがほとんどだからです。

なかでも多いのは、歯周病や歯根部に生じた病巣のために歯槽骨を失っているケースです。

病気が軽度の頃に治療をしておけばこんなことにならなかったでしょうが、

痛まないからと限界まで放置してしまうと、炎症のために歯槽骨が広範囲に溶け

てしまう場合があります。

また、歯槽骨は強い噛む力でも溶ける場合があり、外傷のために歯槽骨を失ってしまうこともあります。

 もうひとつの理由としては、もともと歯槽骨が少ない部位があることが上げられます。

たとえば上あごの奥歯のすぐ上方には、上顎洞という空洞があります。

上顎洞の大きさには個人差があり、大きく発達しているかたでは、抜歯後の歯槽骨の高さがほんの数ミリしかないことがあります。

奥歯は力のかかる場所ですから、本来ならば長いフィクスチャーを埋めたいところですが、数ミリの骨ではとても足りません。

 また、上あご、下あごともに、前歯のところは歯槽骨が幅が薄いため、歯を失うとますます骨幅が薄くなります。歯槽骨が薄すぎるとフィクスチャーが骨から露出し、インプラント治療が不可能になります。

 ただ、歯槽骨が足りないためにインプラント治療ができないとなると、残される道は入れ歯かブリッジになります。

入れ歯は装着した際の違和感が気になったり、入れ歯に対する抵抗感のあるかたもいるでしょう。

ブリッジは、失った歯が多いときには適用できない場合もあります。

 

インプラントを実現する最後の手段!

「インプラントにしたいのに歯槽骨が足りないと診断された」という患者さんのために、現在はご自身の骨や人工骨を用いて歯槽骨を増やす手術が行われています。

生きた骨を増やすのですから、治療には相応の時間がかかり、効果にも個人差があります。

しかし、歯槽骨が増えてはじめてフィクスチャーの骨結合が可能になるわけですから、骨造成術はインプラント治療を可能にする画期的な手術なのです。

 患者さんご自身の生体反応を利用して歯槽骨を増やすというデリケートな治療だけに、「先生におまかせ」というのでは治療はうまくいきません。

インプラント治療を成功させるためには、患者さんご自身も治療内容を理解し、歯科医師とともに骨造成術にじっくりと取り組んでいきましょう。

引用参考文献:nico 2011年7月号

「歯科のおすすめ 電動歯ブラシを使いこなす!」

サッパリ感を楽しもう

 みなさんは、いままでに電動歯ブラシを使ったことはありますか?使ったことのあるかたなら、手用歯ブラシとの使用感の違いに、最初は驚かれたのではないでしょうか。電動歯ブラシの場合、歯ブラシは動かさずにピタリと歯面に当て、少しずつずらすようにしていきます。するとラクに、うまくみがけるのです。

 逆に、超高速で振動しているヘッドをつい手用歯ブラシを使ってきた癖で、勤勉にシャカシャカと動かすと、歯とブラシのあいだに余分な反発力が生まれ、歯ブラシがはじかれたり、歯面から浮き上がってしまうことがあります。するとかえって狙ったところに当てにくくなってしまうのです。

 もともと電動歯ブラシは平滑面をみがくのが抜群に得意。特筆すべきはそのサッパリ感で、当たったところは短時間でツルツルになります。この感覚は、手用歯ブラシでは、なかなか味わえない電動歯ブラシの醍醐味だといえるでしょう。

 

進化した細部みがきの機能

 その一方、従来の電動歯ブラシが不得意としてきたのが、歯のボコボコや歯間などの細部でした。高速でフラットに振動していると、細かいところには毛先が入り込みにくかったのです。そこで近年は、電動歯ブラシが苦手としてきた細部のお掃除に対応すべく、各メーカーはしのぎを削ってさまざまな工夫を凝らしてきました。歯科専売の高機能電動歯ブラシは、以前よりヘッドがグッと小型化し操作性が向上していますし、デコボコや歯間によく入るようにブラシの毛先が工夫されています。

 また、従来よくいわれてきた「電動歯ブラシは強すぎて、歯や歯ぐきを傷めやすい」という点に関しても対策がされています。力の入りすぎを予防する機能を搭載し、みがくときに、大きな力が入らないようになってきています。

 

歯みがき指導を受けよう

 電動歯ブラシは、残念ながら買って使いさえすればお口のなかがきれいになるわけではありません。効率がいいだけに、ブラシが当たっているところ、手用歯ブラシでは時間のかかるツルツル感を短時間で味わえますが、万遍なく当たっていなければ、手用歯ブラシ同様、みがき残しができてしまいます。

 そこで私は、電動歯ブラシこそ、単なる家電製品として購入なさるのではなく、歯科医院でご相談いただき、適切な使い方の指導を受けてお使いいただきたいと考えています。

引用参考文献:nico 2011年6月号

「糖尿病の患者さんへ!全身疾患と歯科治療」

自覚症状がないだけに……

 糖尿病というのはやっかいな病気です。痛くもかゆくもなく、そのくせ一度慢性化すると、それからの人生、ずっと付き合っていかざるを得ないのです。自覚症状がないまま健康診断でひっかかって、糖尿病予備軍だとか、糖尿病にすでになっていることが判明しショックを受けた、というかたが大半ではないでしょうか。

 糖尿病になると、すり傷、切り傷が治りにくかったり、傷が膿みやすくなったりします。そのほか、いやにのどが渇いて水分ばかりとっている、トイレに行くと尿がなんだか甘ったるいような臭いがするとか、または、からだがなんとなく重くてしんどいとか、近頃お腹がすいてよく食べるのにむしろやせてきた、などの兆候があります。思い当たるかたは、なるべく早期の検査をおすすめします。

 

歯の治療と糖尿病の深い深い関係

 ところで、全身疾患である糖尿病が、歯科治療にとって不利な条件になってしまうということは、意外に知られていないのかもしれません。ふだん私たちはお口のことは歯科で、からだのことは医科で、とつい分けて考えがちです。歯科治療に持病の全身疾患が影響を与えると聞いても、ピンとこないかもしれません。でも、実際には関係おおありなのです。

 傷が治りにくかったり、炎症を起こしやすい糖尿病の患者さんの場合、たとえば歯を抜いたり、歯ぐきを切って治療をする際、治療後の傷が治りにくく、感染を起こしやすいため、健康なかたの治療にくらべて特別の配慮が必要です。

 また、血糖値をコントロールする治療を受けていなかったり、血糖値のコントロールがうまくいっていない患者さんの場合、健康なかたにとってはごく通常の歯科治療が、たいへんハードルの高い治療になってしまうことがあります。その際には、血糖値が十分コントロールされるまで治療を延期させていただいたり、大きな病院の口腔外科をご紹介することもあります。

 

安心・安全な治療のために!

 私たち歯科医師は、安心・安全な歯科治療をご提供することを切に願っています。日ごろから血糖値をコントロールすることはもちろん、「たかが歯の治療だ」と思わず、必ず問診表や口頭で糖尿病であることを歯科医師に伝えましょう。また、患者さんによっては、治療後に何度が通院していただくこともあります。順調な回復のために、経過観察や消毒などの処置は必要だからです。ぜひご協力をお願いいたします。

引用参考文献:nico 2011年5月号

前歯の変色って?

前歯の色が何か変?

むし歯にもなっていなくて、本来は健康な歯のはずなのにいつの間にか特定の歯だけが他の歯よりも黒っぽく目立ってしまうことがあります。

治療していない歯にこうしたことが起こる場合、原因として考えられる代表的なものが  「 歯の打撲 」  です。

前歯はぶつかりやすい場所にあり根も1本だけなのでもともと衝撃に弱いのです。

そのため転んだりスポーツの試合中に強くぶつけたりしたときに、そのショックで   

“ 歯の神経が死んでしまう ”   ことがあるのです。

ぶつけたときに歯が欠けたりグラグラしたりすれば緊急に歯医者さんに行って診てもらうと思いますが、ぶつけただけの痛みではなかなか行かないので、歯の色が黒く変わってきてはじめて受診して

       「 神経が死んでいる 」

と知って驚く方も多いです。